イイものはイイ

青森市浅虫:伝説の豆腐店

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こないだ、すげぇ豆腐屋を見つけた。

注)現在こちらの豆腐屋さんは営業されておりません。その理由を最初に書いてしまうととても悲しいので、記事の最後に記載させていただきます。

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ちょっとした噂を聞いて、立ち寄ってみた青森市浅虫。

温泉や水族館で有名な場所ではあるんだけど、そこの豆腐屋がなんだかスゴいらしい。

見つけるのはそう難しくない。

昨今、どこも小綺麗にした店を構えているなか、なんだろうこの荒削りな「アジア感」は。

 

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目立つのかどうか分からない、シルバーにペイントされた看板には「近藤豆腐店」の文字。

店の入り口には、廃材なんだか看板なんだか、備品なんだかゴミなんだか、よく分からないもので溢れている。

 

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ここって入り口だよね?ってところにデッキブラシや丸ノコ、チェーン、そしてプラスティックBOX。

客を拒んでいるかのような秀逸なレイアウト。

 

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使えるのか分からない洗濯機、無造作に置かれた包丁。

まだ店の前に来たばかりなのに、この「アジア感」に圧倒される。

 

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注意を怠れば、排水溝に落ちてしまうような、ありのままなセキュリティ。

 

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まずは商品のラインナップを拝見した。

「ゆば」を二度も繰り返すお品書きは初めてみた。

とりあえず棒でよく見えない「おみやげセット(¥1,000)」に決めた。

 

 

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中に入ると、人影はなく、大量の大豆が出迎えてくれた。

 

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「おはようございまーす」

 

と何度か呼びかけると、思いもしない方向から返事があった。

ずっと奥にあるボイラー。そこに体をうずめていたおじいさんがゆっくりとこっちを振り向いた。

 

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「おみやげ豆腐」を注文する前に、

「ここは初めてかい? なら、おみやげ豆腐にするといい。いっぱいオマケするよ」

とおじいさん。

ひたすら喋り続けながら、少しずつ商品を出してくる。とにかくよく喋る。よほど豆腐が好きなんだろう。

 

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一斗缶で作る豆腐。ワイルドだ。

 

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とにかくずっと喋ってる。

10分喋って、やっと1品出てくるような感じだ。

 

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男の仕事場ってやつだ。

 

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常連さんもやってきた。

迂闊に順番を譲ったのが大間違い。ここから30分以上、この二人のトークは続いた_笑

行列ができないのに、こんなに待たされる店は初めてだ。

 

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お品が揃い、やっと帰れるかなって頃には、このおじいさんと仲良しになっていた。

朝から飲み始めるおじいさん。なんて自由気ままな人生だろう。

 

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いっぱいオマケしてくれた「おみやげ豆腐」。

一緒に行った地元の先輩と分けて、さらに道中の友達にお裾分けしたのにこの量である。

揚げ豆腐や油揚げも入っている。

 

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うーーーーん! 美味い!

こんなに美味い豆腐を食べたのは初めてだ。

特に揚げ豆腐、油揚げはずっしりと重厚で味わい深いものだった。

ここまで作ってくれた人に感謝することはなかなか無い。

おじいさん、ありがとう!

 

最後に、豆腐が出てくるまでひたすら待ち続けた間に手渡された、雑誌掲載文をここに載せて締めくくりたいと思う。(画像からテキスト検出するアプリを使用☆)
スミマセン、掲載雑誌の名前忘れましたm(_ _)m

 

「今日の豆腐のできは、自分にとって納得できないな。ようするに心が入っていなかったんだよ」 と豆腐店のご主人である近藤清孝さん(66)は笑いながら話す。
豆腐屋さんの朝は早い。近藤さんは早朝1時には起きて、2時にはもう作業が始まっている。シューッ、シューッという圧力釜の鳴る音、一斗缶のぶつかる音、そのなかでカセットからタンゴやクラシックのピアノ曲が店内に流れて いる。それを聞きながら作業をしているのだ。
飾らず自然に生きる
浅虫にある近藤豆腐店の創業は1950 (昭和25)年。近藤さんのお父さんが始めた。当時、浅虫には近藤さんの他に、2軒の豆腐屋さんがあったという。近藤さんは中学を卒業後、豆腐作りを手伝いながら定時制高校へ通う。
「父親は仕事にあまり熱心では なかったんです。機械などの設備にお金をかけてしまっていたから、当然、私が後を継がないと思っていましたよ」と近藤さん。
この頃作っていたのは、木綿豆腐だけだった。近藤さんに言わせれば、絹ごしに比べ作り方は簡単 なのだという。朝に作った豆腐を日中売り歩き、タ方には学校へ行くのが近藤さんの日課だった。
売り歩く先は、浅虫周辺や16軒ばかりの開拓村である。自転車に豆腐を付け、「オーイ母っちゃ、豆腐いいがー、笑うコンニャクもあるどー、穴のあいたタンポー」と触れ歩く。定時制高校を卒業後も、それは20年以上も続けていたという。
「のんびりとしたいい時代だったよ」と近藤さんは懐かしむ。
結婚したのは24歳の時。2人で住めるような家を建てるまでと、奥さんを2年待たせたという。そして、一番忙しかったのは昭和30年から40年代にかけて。とにかく作れば売れるという時代だったと いう。
1995 (平成7)年、コンビニや大型店舗が建ち始めると、大半の豆腐店は廃業してしまい、現在、青森市内には2軒だけになってしまう。
「どうして辞めなかったのかって?うーん、豆腐作りが大好きだから」と近藤さんはニッコリ。
近藤さんにはモットーがある。それは、「飾らず、自然に生きる事」「食べ物は神様からの贈り物」「人は知恵さえあれば出来ないものはない」である。正直に豆腐を作って生きてきたという近藤さん。そして、定時制高校の若い先生の言葉で、
「人は生まれながらにして自由の権利を持っている。これを誰も侵害することはできない」
「善悪の区別は3歳児でも分かるが、善の実行をするのは80歳でもなお難しい」
「人はただ一人では生きられない。多くの人や物に支えられ、生かされることによって生きている。その恩に報いるただひとつの道は、人を生かし物を生かすことである」
近藤さんは今でも暗記していて、これさえしっかり心に持っていれば、曲った生き方にはならないと、人生の柱にしているのだという。
環境と体に悪いものは使わない
現在、近藤豆腐店で作っているのは、木綿豆腐、絹ごし豆腐、袋豆腐、油揚げ、生揚げ、焼き豆腐、寄席豆腐の7種類。
原料は糖分を一番多く含んでいるカナダ産の大豆だ。それを水に浸して置いて、豆摺り機にかけ、圧力釜の蒸気でゆっくり煮る。
絹ごし豆腐と袋豆腐だけは甘味を出すように煮るのだという。それを搾り袋で漉した後、にがりと硫酸カルシウム、砂糖の搾りかすを入れて豆腐にしていくのである。
豆腐作りの行程で、圧力釜の温度を一定にすることと、ニガリをうつ時に一番神経を使うのだという。圧力釜は今では扱いが難しいため、滅多に使われていない南部鉄器の解放釜。極力公害を出さないことを考えてのことだと近藤さんは言う。
「環境と体に悪いものは使わないようにしているんだ。だから添加物も入れないし、油揚げの油は捨てないでボイラーの燃料に利用しているんだよ」と近藤さんは、絞った豆乳の入った一斗缶を湯槽に入れ、湯煎しながら話す。
その側で、息子さんの裕さん(35)が手早く袋豆腐を作る作業に追われていた。近くのホテルで板前として働いている裕さんは、仕込みを終えると豆腐作りの手伝いに帰ってくるのだという。
「息子に後継ぎは考えてもいないし、本人だってその気はないでしょう。だから私の代で豆腐屋は終わりだよ」と近藤さんは笑う。
そうしているうちに、良い匂いが漂ってきた。油揚げだ。豆腐の種を油に入れ揚げていく。機械ではなく手揚げなのだ。何度もひっくり返しながらキツネ色になるまで揚げていくのである。約15分とはいうものの、色を見ながらの勘だという。出来上がった油揚げは、厚くずっしりとしている。
この油揚げにしても、豆腐にしても大豆の甘味がロに広がって、とても美味しいのだ。手作りだからこその味わいなのかも知れない。現在は浅虫温泉のホテルや旅館で使われるほか、道の駅「ゆ~さ浅虫」などで販売されているという。
「よその豆腐よりも美味しいと言われるよりも、ここの豆腐を食べて健康になったよと言われることが一番嬉しいね。お客さんのなかには、豆腐が嫌いだったけど、うちの豆腐を食べたら大好きになったという人もいるんですよ」。そう話す近藤さんの表情と手は、豆腐作りの職人そのものと思えた。

2017年追記:

実はこの記事を書いた数ヶ月後の秋、こちらの豆腐レジェンドのおじさんは山にキノコ採りに出かけ、そのまま帰らぬ人となりました。

そういえばこの時もおじさんは「俺はキノコ採りが大好きでさ、名人なんだよ」と、自慢げに話していたなぁとシミジミ思い出します。

たった一度しかお会いせず、豆腐も一度しか味わえませんでしたが、なんとも人が生きる上で普遍的な理(ことわり)を学ばせていただいたように感じています。

豆腐に生き、そして最後は大好きだったキノコ採りをしながら、青森の自然の中でこの世を去った豆腐おじさんのご冥福をお祈りいたします(-人-)

我が社、今後も鋭意精進してまいりますm(_ _)m

 

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